ルカによる福音書6:12-16

それに後に裏切り者となったイスカリオテのユダである。
(ルカ6:16)

本日の聖書の箇所には、キリストが弟子たちの中から特別に選ばれた十二人の名前が記されていました。そして、その名簿の最後には、「後に裏切り者となったイスカリオテのユダ」(16節)の名が記されておりました。細かいことを申しますと、ギリシャ語の原典には「後に」という言葉がありません。単純に「裏切り者となったイスカリオテのユダ」となっています。したがって、イスカリオテのユダは十二使徒に選ばれたときには真の信仰を持っていたが、後に裏切り者となったというのではありません。イスカリオテのユダは十二使徒に選ばれたときから、裏切り者となる素質を持っていたということです。さて、それでは裏切り者となるような素質を持っていた者を十二使徒の中に入れてしまったというのは、キリストの失敗であったのでしょうか?すなわち、キリストが不注意にも、真の信仰のない者を十二使徒の中に入れてしまったということでしょうか?人間的に考えればそのように思うかもしれませんが、実際はそうではありません。

ヨハネによる福音書の6章70節によりますと、弟子たちがキリストの教えを理解できずに離れ始めたときに、キリストは「あなたがた十二人は、わたしが選んだのではないか。ところが、その中の一人は悪魔だ」と言われました。これは、イスカリオテのユダのことを指しています。また、ヨハネによる福音書の17章12節によりますと、キリストは、裏切られてユダヤ人に引き渡される夜に、「わたしは彼らと一緒にいる間、あなたが与えてくださった御名によって彼らを守りました。わたしが保護したので、滅びの子のほかは、だれも滅びませんでした」と祈られました。この「滅びの子」とは、イスカリオテのユダのことを指しています。事実、最後の晩餐の席上でキリストは弟子たちを前にして、イスカリオテのユダにパンをぶどう酒に浸して渡した後、「しようとしていることを、今すぐ、しなさい」と言われたことがヨハネによる福音書の13章27節に記されています。ですから、キリストはイスカリオテのユダが裏切り者となるということをご存知の上で、十二使徒に加えておられたのでありました。

(8月1日の説教より)