出エジプト記12:21-28

「また、あなたたちの子供が、『この儀式にはどういう意味があるのですか』と尋ねるときは、こう答えなさい。『これが主の過越の犠牲である。主がエジプト人を撃たれたとき、エジプトにいたイスラエルの人々の家を過ぎ越し、我々の家を救われたのである』と。」  (出エジプト12:26-27)

過越の祭りで食べられる子羊の肉と、災いを受けないしるしである子羊の血は、主なる神様が権力をもって高ぶっていたエジプトの王や人々を裁き、奴隷として苦しめられていたイスラエルの人々を救ってくださったという、大いなる救いの出来事を記念するものでした。この出エジプトの救いの出来事がなければ、イスラエルの人々が自由になることはありませんでした。ですから、いつの時代もイスラエル人の子孫は、先祖の受けた出エジプトの救いのゆえに今の自分があるということを忘れてはならないのです。先祖がエジプトから救い出されなかったら今の自分はない、ということを心に刻まなければなければならないのです。そして、主なる神様に信頼して、主なる神様に従って生きて行かなければならないのです。

イスラエルの人々の救いを記念する過越の祭りは、イエス・キリストによって、キリストを信じる人々の救いを記念する新しい祭りへと更新されました。キリストは十字架につけられる前の「過越の祭り」の食事において、新しい食事の儀式をお定めになりました。これから始まる新しい出エジプトを記念するためです。それが、私たちが毎月守る主の晩餐、つまり聖餐式です。聖餐式は、主イエス・キリストが十字架につけられる前の夜になされたいわゆる「最後の晩餐」が原型でした。つまり、これからキリストが十字架について死んで、三日目に復活し、さらに四十日後に天に昇る、天国への旅立ちの前に、聖餐式が定められたのです。モーセと共にイスラエルの人々がエジプトを出発したように、キリストと共にクリスチャンは罪と死の支配するところから天国に向けて出発します。そのことを記念する儀式が聖餐式です。

(11月1日の説教より)