コリントの信徒への手紙一16:13-18

兄弟たち、お願いします。あなたがたも知っているように、ステファナの一家は、アカイア州の初穂で、聖なる者たちに対して労を惜しまず世話をしてくれました。
(一コリント16:15)

「ステファナの一家」とか「ステファナの家の人たち」(一コリント1:16)というのは、ステファナとその家族ということかもしれませんし、ステファナとその家の奴隷や使用人ということかもしれません。いずれにしても、「アカイア州の初穂」という表現からわかるように、「ステファナの一家」はパウロの伝道によってキリストを信じ、コリントで最初に洗礼を受けた人たちでした。そして、「聖なる者たちに対して労を惜しまず世話をして」くれた人たちでした。これは、「ステファナの一家」が、コリント教会の信徒たちに対して労を惜しまずさまざまな配慮をしていたことを意味しています。どのような配慮をしていたのでしょうか。二つのことが考えられます。一つは、信徒たちにキリストの福音について個別に教えをし、礼拝では預言すなわち説教もしていたのではないか、ということです。もう一つは、自宅で集会をして信徒たちをもてなして、信仰をしっかりと保つように励ましていたとのではないか、ということです。どちらも、信仰の共同体にとっては大切な奉仕です。すなわち、ステファナとその一家は、コリント教会にとってキーパーソンであったと言うことができるのです。
パウロはコリント教会の信徒たちに対して「どうか、あなたがたもこの人たちや、彼らと一緒に働き、労苦してきたすべての人々に従ってください」(16節)と願っています。つまり、「ステファナの一家」とその協力者たちの指導を受け入れて従うようにと願っているのです。「従う」と言っても、立場が上であるからいやでも従うということではなくて、愛をもって自発的に従うということでしょう。それにしても、パウロが信徒たちの中で特定の人の名前を挙げて、その人の指導に従うようにと言っているのは、注目すべきことです。

(7月12日の説教より)