すなわち、合図の号令がかかり、大天使の声が聞こえて、神のラッパが鳴り響くと、主御自身が天から降って来られます。 (一テサロニケ4:16)
「主御自身が天から降って来られます」というパウロの言葉は、「人の子が大いなる力と栄光を帯びて天の雲に乗って来る」(マタイ24:30)や「人の子は、栄光に輝いて天使たちを皆従えて来る」(同25:31)というキリストの言葉に基づいていると思われます。これは、終わりの日のキリストの再臨のことです。旧約聖書にさかのぼりますと、終わりの日のキリストの再臨がはっきりと預言されているのは、ダニエル書7章13-14節の言葉です。「夜の幻をなお見ていると、/ 見よ、『人の子』のような者が天の雲に乗り/ 『日の老いたる者』の前に来て、そのもとに進み/ 権威、威光、王権を受けた。/ 諸国、諸族、諸言語の民は皆、彼に仕え/ 彼の支配はとこしえに続き/ その統治は滅びることがない。」
この箇所は、イエス・キリストがご自身のことを「人の子」と呼ばれた根拠を示している重要な箇所です。すなわち、ダニエル書7章には、バビロニア、メディア、ペルシア、ギリシアなどの地上の権力ある国々の有様が、様々な獣の比喩によって表現されています。そして、それらの獣のような国々を裁く審判者として、終わりの日に「人の子」のような者が天の雲に乗って来るということが預言されているのです。この「人の子」のような者は、イエス・キリストのことを指しています。イエス・キリストは終わりの日に権力ある国々を裁き、神の民を救う究極的な審判者であられます。ですから、キリストはダニエル書7章13節に従ってご自身のことを「人の子」と呼び、「人の子が大いなる力と栄光を帯びて天の雲に乗って来る」(マタイ24:30)や「人の子は、栄光に輝いて天使たちを皆従えて来る」(同25:31)と語られたのです。新約聖書で教えられている終わりの日の裁きと救いは、旧約聖書の終末に関する教えに基づいているのです。
(10月30日の説教より)