コリントの信徒への手紙二5:16-19

キリストと結ばれる人はだれでも、新しく創造された者なのです。             (二コリント5:17)

人はキリストを信じることによって古い生き方から新しい生き方へと変えられます。回心をしてキリスト教徒を迫害する生き方からキリストを宣べ伝える生き方へと変えられたパウロはその典型です。しかし、パウロの変化はただ個人的なことだけではありませんでした。パウロは、洗礼を受けることによって、それまで所属していなかったキリスト教会の一員となりました。そして、アンティオキアの教会から派遣されて異邦人にキリストを宣べ伝える伝道旅行をしました。さらに、異邦人の信徒たちの献金を集めて、迫害されて苦しんでいるエルサレムの教会の信徒たちを支えました。つまり、キリスト教会という共同体の中にあって生きる新しい歩みを始めたのでした。

キリストのために生きる人となり、キリスト教会という共同体の中にあって生きる人となるというパウロの変化は、神様が造り出してくださったものでした。ですから、パウロは「キリストと結ばれる人はだれでも、新しく創造された者なのです」と述べます。新しく生きるようになったのはパウロですが、そのようにパウロを新しく創造してくださったのは神様でした。

もしかすると、みなさまの中には「私はパウロのような劇的な回心をしたわけではないから、『新しく創造された者』と言われてもピンと来ない」とおっしゃる方があるかもしれません。確かに、誰もがパウロのような劇的な回心を経験するわけではないでしょう。しかし、キリストを心から信じる人はだれでも、毎日の生活の中で古い自分が死んで新しくされる経験をすることがあるのです。それは、外から見るとほとんで見えないような変化かもしれません。しかし、だれでも自分が正しいと思っていたことや自分が誇りに思っていたことを、「そうではありません」と神様から否定されるような経験をすることがあるに違いないのです。そのときに、自分が正しいと思っていたことや自分が誇りに思っていたことに固執するならば、新しく創造されるということは起こらないでしょう。しかし、自分を打ち砕いてくださった神様のお働きを受け入れて、自分が新しくされることを願うならば、神様は聖霊によって私たちの人格を日ごとに新しく創造してくださるのです。どのように新しく創造してくださるのでしょうか?それは自己中心の生き方から、平和をつくる生き方へと新しく創造してくださるのです。         (1月1日の説教より)