聖 書 ヨブ記42:1-6
「わたしが大地を据えたとき、お前はどこにいたのか。」
(ヨブ38:4)
神様は「正しい人であるわたしがなぜ苦しまねばならないのか」というヨブの問いかけには、直接には何もお答えになりません。そして、ヨブが自然や宇宙について何も知らないことを指摘し始めるのです。たとえば、38章の31節と32節には「すばるの鎖を引き締め、オリオンの綱を緩めることがお前にできるか。時がくれば銀河を繰り出し、大熊を子熊と共に導き出すことができるか」とあります。人間は宇宙の広大さを知り尽くすことはできず、ましてや宇宙を支配することなどできません。古代の人々もそのように思っていたでしょうし、現代に生きる私たちはますます宇宙の広大さを知って驚きを覚えています。一人の人間にはとても大きなものに思える地球も、宇宙の中の「天の川銀河」の中の小さな一つの惑星にすぎません。そして、「天の川銀河」の中には、太陽のような恒星が約2千億から4千億個あると言われています。さらに、「天の川銀河」は、約35個の銀河からなる「局部銀河群」という銀河の群れに属しており、さらに、数100から1万個もの銀河の集まりである他の「銀河団」とともに「超銀河団」というのを構成しているのだそうです。宇宙は何と大きなことでしょう。そして、人間は何と小さなことでしょう。
また、神様は、自然界の生きものは人間が世話をしなくても生きていることを、ユーモアを込めてヨブに語っています。「お前は雌獅子のために獲物を備え、その子の食欲を満たしてやることができるか。 雌獅子は茂みに待ち伏せ、その子は隠れがにうずくまっている。」(ヨブ38:39-40)「誰が烏のために餌を置いてやるのか、その雛が神に向かって鳴き、食べ物を求めて迷い出るとき。」(ヨブ38:41)近寄りがたいライオンから、身近なところにいるカラスに至るまで、生きものたちは人間の世話にならないで生きています。私たち人間は肉を食べたいと思ったならば、肉屋やスーパーに行って食べやすいように処理された肉を買ってきます。しかし、ライオンは自分で狩をして獲物をとらえ、生のまま獲物の肉を食べるのです。カラスは人間が餌をやらなくても、あらゆるところから餌を探してきて食べることができます。昆虫や爬虫類も食べますし、植物の実や種も食べることができます。現代では人間の出した生ゴミも食べます。人間よりもずっとたくましいのです。
(7月26日の説教より)