「あなたがたも、何を食べようか、何を飲もうかと考えてはならない。また、思い悩むな。それはみな、世の異邦人が切に求めているものだ。あなたがたの父は、これらのものがあなたがたに必要なことをご存じである。」
(ルカ12:29-30)
神は全宇宙を創造し、今も全宇宙を治めておられます。それはただ全体として宇宙を保持しておられるというだけでなく、私たち一人ひとりに個別に起こる出来事すべてが神の恵み深い御手によって起こるように治めておられるということなのです。
よく考えてみますと、そもそも有限なる存在である人間にとって、地上における歩みに死の影がつきまとうのは当然のことであります。ですから、私たちは人生の危機に出会うときに、安易に神に見捨てられたかのように考えてはなりません。また、神がこの世界を治めておられないかのように考えてはなりません。いったい、この地上に存在する物のなかで、壊れることなく永遠に存続するものがあるでしょうか。また、この地上に存在する命の中で、永遠に生き続けるものがあるでしょうか。地上に存在する物はいつかは壊れ、地上の命はいつかは死ぬべきものなのです。言い換えれば、この世界に人間の生活を脅かすものがたくさんあるのは当然のことなのであります。
しかし、神は人間の生存を脅かすものをも御手をもって治め、一人の人間が一定の期間、地上において生活できるようにさまざまな配慮をしてくださっています。その配慮は、神が鳥や野の花に対してなさる配慮よりもさらに細やかで行き届いたものであります。人間にとって、命があって、食べ物も着る物もあることは、あたりまえのことではありません。それは神の配慮の結果であり特別なことなのです。今日、命が与えられ、食べ物や着る物が与えられていることに感謝して、天の父なる神に信頼して生きていこうではありませんか。 (1月12日の説教より)