あなたがたは知らないのですか。神殿で働く人たちは神殿から下がる物を食べ、祭壇に仕える人たちは祭壇の供え物の分け前にあずかります。(一コリント9:13)
 
これは、旧約聖書において聖なる場所で働く祭司たちが報酬を受け取ることができるように定められていたことを指しています。旧約聖書のレビ記2章によりますと、イスラエルの人々は「穀物の献げ物」として上等の小麦粉を神様に献げることが命じられていました。その上等の小麦粉のうち「一つかみ」はオリーブ油を注がれて乳香とともに祭壇で燃やされ、残りは祭司のものであると定められていました。つまり、イスラエルの人々が献げた「穀物の献げ物」の大部分は、祭司とその家族の生活を支えるパンとなったのです。
また、イスラエルの人々は、罪赦されたことへの感謝や願いが聞かれたことへの感謝として、牛や羊や山羊などの「和解の献げ物」を神様に献げていました。レビ記の3章および7章によりますと、この「和解の献げ物」として献げられた家畜は、屠殺されて血が祭壇の側面に注ぎかけられ、脂肪が祭壇で燃やされた後、肉が献げた人に戻されました。そして、献げた人は神様との交わりの食事としてその肉を食べることができたのです。ただし、胸の肉と右後ろあしの肉は祭司のものと定められていました。人々の献げた「和解の献げ物」から祭司とその家族は、胸の肉と右後ろあしの肉を食べることができたのです。その他にも、人々が献げる「贖罪の献げ物」や「賠償の献げ物」の家畜の肉を、祭司は聖なる場所で食べることができると定められておりました(レビ6:19、7:6)。
このように、旧約聖書における祭司への報酬は手厚いものでありました。祭司は、人々を代表して献げ物を献げて神様を礼拝し、また神様の律法を人々に教えることを神様から委託されていました。その委託されたつとめの報酬として、上等の小麦粉や家畜の肉を与えられていたのです。その事実は、キリストから委託されて伝道のつとめをなす人が報酬を受けることができるということを示唆するものでした。そして、次の14節でパウロは「同じように、主は、福音を宣べ伝える人たちには福音によって生活の資を得るようにと、指示されました」と記しています。
(11月25日の説教より)