聖書 テサロニケの信徒への手紙一 5:25-28
兄弟たち、わたしたちのためにも祈ってください。(一テサロニケ5:25)
「兄弟たち」とはテサロニケ教会の信徒たちのことであり、「わたしたち」とはこの手紙の差出人であるパウロとその同労者シルワノとテモテのことでありましょう。パウロは信徒たちのために一方的に祈るだけでなく、信徒たちの祈りによって支えてほしいという率直な希望をももっていました。このことはテサロニケの信徒への手紙だけではなく、他の手紙にも見られることです(ローマ15:30-32、エフェソ6:19-20、コロサイ4:3-4)。
パウロのような偉大な伝道者であっても、信徒たちの祈りの支えを必要としていたということは、普通に考えれば不自然なことかもしれません。パウロは一般の信徒たちとは比べものにならない位、深い信仰と広い知識と豊かな経験を持っていました。そのようなパウロが信徒たちの信仰の成長のために祈るのは当然かもしれませんが、パウロと比べれば未熟なクリスチャンである信徒たちに向かって「わたしたちのためにも祈ってください」とお願いするのは、不自然でありおかしいと思われるかもしれません。しかし、これこそがキリストにあるクリスチャンの交わりなのです。
クリスチャンは天におられるキリストのとりなしの祈りによって支えられています。天におられるキリストは私たちのために贖罪の死を遂げたお方でありますから、そのキリストのとりなしは私たちの救いのために絶大な力があります。絶大なキリストのとりなしに信頼して、私たちもまたお互いのためにとしなしの祈りをささげ支えあうのです。祈りによって伝道者が信徒を支え、信徒が伝道者を支え、信徒が他の信徒を支えるのです。こうして、祈りの交わりが形成され、私たちは日々別々のところで生きていても、キリストにあって一つの交わりを形づくることができます。互いに祈りあう群れは、伝道者も信徒も深いところで一つに結ばれているのです。
(1月15日の説教より)