聖書  ルカによる福音書2:1-20


「あなたがたは、布にくるまって飼い葉桶の中に寝ている乳飲み子を見つけるであろう。これがあなたがたへのしるしである。」      (ルカ2:12)


 キリストが飼い葉桶の中に寝かされていたのは、「宿屋には彼らの泊まる場所がなかったからである」(7節)とありますように、マリアとヨセフにとって家畜小屋以外に泊まる場所がなかったからであります。そして、救い主として、全世界の王としてこの世にお生まれになったキリストに泊まる場所がなく、飼い葉桶の中に寝かされたという事実は、キリストの生涯の重要な意味を物語っています。すなわち、キリストが十字架の死によって人々を罪から救い、十字架の死を通して栄光の王座につかれるということであります。キリストは人々に代わって十字架上で死ぬという、最も低いところに下るためにこの世にお生まれになりました。そして、十字架上の死を通して復活し、天に昇って全世界を治める王となるために、この世にお生まれになったのです。


 ヨハネによる福音書1章11-12節には「言は、自分の民のところへ来たが、民は受け入れなかった。しかし、言は、自分を受け入れた人、その名を信じる人々には神の子となる資格を与えた」と記されています。この「言」とはキリストのことです。キリストが家畜小屋で生まれ飼い葉桶の中に寝かされたということは、キリストがこの世においては受け入れられず十字架にかけられたということを象徴しています。しかも、キリストは私たち罪人に代わって十字架にかけられたのでありました。なぜならば、神に造られた者でありながら、神と隣人を愛しなさいという戒めに従わず、罪を犯し続けてきたのは、私たち人間であったからでした。キリストが私たちに代わって私たちの罪を担って十字架についてくださったことにより、キリストを信じる者は罪の赦しを受け、神と和解することができます。この神との和解こそ、人にとって生きる力の源なのです。  (12月25日の説教より)