コロサイの信徒への手紙1:6-8
あなたがたにまで伝えられたこの福音は、世界中至るところでそうであるように、あなたがたのところでも、神の恵みを聞いて真に悟った日から、実を結んで成長しています。(コロサイ1:6)
キリストの福音がコロサイの教会において「実を結んで」いる(ギリシア語 カルポフォレオー)とは、信徒たちが罪を赦されて永遠の命を受け、聖霊に導かれて神様に喜ばれる行いをしているということなのでしょう。パウロはこのあとの1章10節でも、同じカルポフォレオーと言う言葉を用いて「すべての点で主に喜ばれるように主に従って歩み、あらゆる善い業を行って実を結び、神をますます深く知るように」という信徒たちのための祈りの言葉を記しています。
それでは、キリストの福音がコロサイの教会において「成長しています」とはどのようなことでしょうか?「成長しています」と翻訳されているアウクサノーというギリシア語は、元々は「程度、大きさ、状態、質においてより大きくすること」を意味します。ですから、福音が「成長しています」とは、コロサイの教会の信徒たちを、クリスチャンとして質的に成長させているという意味にとることができます。しかし、それだけでなく、コロサイ教会の大きさが量的に拡大しているという意味にもとることができるのです。そこで、English Standard Version という英語の聖書は、この箇所を「増える」という意味のincreaseという単語を使って翻訳しています。つまり、日本語に直すと、福音が「実を結んで増えています」ということになります。「成長しています」と翻訳することは、もちろん間違いではなく正しいことなのです。ただし、その「成長しています」が質的な成長だけを意味すると解釈すると、それはその前の「実を結んで」いると同じような内容になります。(中略)
ギリシア語版の「七十人訳」旧約聖書で、本日の説教の初めに引用しました創世記の1章22節の「産めよ、増えよ、海の水に満ちよ。鳥は地の上に増えよ」という魚と鳥への祝福の言葉や、創世記1章28節の「産めよ、増えよ、地に満ちて地を従わせよ」という人間への祝福の言葉を読んでみますと、本日の聖書の箇所で「成長しています」と翻訳されているアウクサノーという同じギリシア語が使われているのがわかります。非常に細かいことを申しますと、それは「産めよ」というヘブライ語をギリシア語に翻訳するときに使われていて、「増えよ」というヘブライ語はまた別のギリシア語に翻訳されています。しかし、「産めよ」と「増えよ」は、どちらも数が増えて量的に成長するようにということですから、それと同じ言葉をパウロが本日の箇所で使うときにも、おそらく量的な成長ということを考えていたのでしょう。
そうすると、「実を結んで」は信徒たちが質的にクリスチャンとしての生き方をしていることを意味しており、「成長しています」は信徒たちの数が量的に増えていることを意味していることになります。 (6月14日の説教より)