二コリント3:1-3「神の霊による手紙」

あなたがたは、キリストがわたしたちを用いてお書きになった手紙として公にされています。墨ではなく生ける神の霊によって、石の板ではなく人の心の板に、書きつけられた手紙です。  (二コリント3:3)

パウロを推薦する言葉は、一方では2節にあるようにパウロ自身の心に記されていたものでした。しかし、他方では3節にあるように、コリンとの信徒たちの「心の板」に記されていたものだというのです。このことを理解するためには、パウロが念頭に置いている二つの旧約聖書の箇所を見る必要があります。

まず、旧約聖書のエレミヤ書の31章33節を見てみましょう。「しかし、来るべき日に、わたしがイスラエルの家と結ぶ契約はこれである、と主は言われる。すなわち、わたしの律法を彼らの胸の中に授け、彼らの心にそれを記す。」これは、神様の裁きによってユダ王国が滅びた後、神様が信じる人々と新しい契約を結ぶときには、神様の律法を人々の心の中に記すというエレミヤの預言です。すなわち、新しい契約を受けた人々は、神様の教えが聖霊の働きによって直接に心に記されるというのです。もう一つ、エゼキエル書の36章26節と27節を見てみましょう。「わたしはお前たちに新しい心を与え、お前たちの中に新しい霊を置く。わたしはお前たちの体から石の心を取り除き、肉の心を与える。また、わたしの霊をお前たちの中に置き、わたしの掟に従って歩ませ、わたしの裁きを守り行わせる。」エゼキエルも、神様の裁きによってユダ王国が滅びた後、神様は信じる人々に聖霊を与えて、その心を石のようなかたくなで死んだものから生きた肉のような命のあるものにしてくださるという預言をしたのでした。

これらの旧約聖書の預言は、キリストが十字架上で死んで復活し天に昇られ、天から聖霊を注いでくださったことによって実現しました。そこで、パウロはこれらの預言を念頭において、コリント教会の信徒たちに「あなたがたは」「墨ではなく生ける神の霊によって、石の板ではなく人の心の板に、書きつけられた手紙です」と書いているのです。すなわち、パウロはコリント教会の信徒たちに「あなたがたは神様の聖霊によって律法を心に書きつけられて、それに従って歩んでいます。だから、あなたがた自身が私パウロを伝道者として推薦する手紙のようなものなのです」と言っているのです。      (3月7日の説教より)